スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック(発行:日本スポーツ協会)
熱中症とは暑熱環境で発生する障害の総称で、熱失神、熱けいれん、熱疲労(熱ひはい)、熱射病などに分けられます。この中でもっとも重いのが熱射病で死亡事故につながります。かつて熱中症は軍隊や炭鉱、製鉄所などの労働現場で問題になりましたが、これらは活動基準や労働基準が策定され、労働環境が改善されることによって減少しました。これらに代わって1980年代からは、スポーツによる熱中症死亡事故が問題になりました。
スポーツによる熱中症死亡事故は無知と無理によって健康な人に生じるものであり、適切な予防措置さえ講ずれば防げるものです。ひとたび事故が起きると人命が失われるだけでなく、指導者はその責任を問われ訴訟になる例もあります。
また、死亡事故に至らなくても熱中症になると、その後しばらくスポーツ活動を休まざるを得なくなり、トレーニングの面からもマイナスになります。そもそも暑熱環境下で無理にトレーニングをしても、トレーニングの質が低下するうえに消耗が激しく、トレーニング効果もあがりにくくなります。このような意味から、こまめに休憩をとり、水分補給をするなど適切な熱中症対策を講じ、よい状態でトレーニングすることは、熱中症を予防するだけでなく、トレーニングの質を確保し、効果的なトレーニングを進めることにも通じます。
(はじめに より抜粋)
